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御園座吉例顔見世 [歌舞伎!!]

10月7日、御園座に行ってきました。吉例顔見世興行です。
今月は他にも大阪松竹座と歌舞伎座に行く予定があるし、「ぜったい観たい」という俳優さんも出ないし、御園座は他の劇場と比べてチケット代が高いので、今回はやめておこう…と思っていたのですが。
それでも2週間ほど前に、せっかく交通費も宿泊費も掛からない名古屋で歌舞伎が観られるのにもったいないし、観てみたい演目も掛かるので、せっかくだから行こうと思い立ったのでした。
さんざん迷いましたが、結果的に観に行って良かったデス。

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玄関入り口が吹き抜けなので、俳優さんたちの名前看板、ずいぶんと見上げなければよく見えないのが、ちょっと残念。下の方にはチラシと同じ立て看板もありましたが、こちらもあまり目立たないところに掲げられていたので、誰が出るのか分かりにくいような。。。
地下鉄出口から御園座までの動線上に、大きくて目立つ看板があると、もっとワクワク感が出るのになぁ~ 御園座は歌舞伎以外の公演の方が多いので、そういう演出はなかなか出来ないのかな?

絵看板も、歌舞伎座は通りから良く見える場所に派手に掲げられていますが、御園座では2階ロビーにあります。2階へのエスカレーターを上がった先にありますが、よく探さないと分からないです…
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歌舞伎座は一つの演目ごとに描かれた絵看板ですが、こちらでは昼の部と夜の部ごとに、全ての演目の登場人物が一枚に描かれています。
今じっくりと見てみてみて気が付いたんですが、この集合体の絵看板の方が面白いかも。演目ごとの絵看板は、この演目に出るのはこんな登場人物と一目でわかるんですが、集合体は一目では分からない。芝居を観終わった後にじっくり見てみると、『ああ、これが義経千本桜の主人公狐忠信だ』『これは右近ちゃんのお賤かなぁ~?』『魁春さんの女暫、面白かったわ~』などなど、それぞれのお話を思い出させてくれて楽しめる訳です。

今回のラインナップ。
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音羽屋さんと萬屋さんを中心とした座組です。

昼の部のお席は、2階7列37番。B席。
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実はB席はS席の半額。歌舞伎座と比べると舞台から2階席までの距離が近いので、B席後方でもあまり遠さを感じません。S席とのお値段を考えるとお得感があります。
ただ、花道はすっぽん辺りしか見えないので、引っ込みの六方が面白い演目だと、ちょっと残念感があります。今回の演目、狐六方で有名な義経千本桜鳥居前。。。しまったぁ~[あせあせ(飛び散る汗)]事前に予習してからチケットを取らなかったので、狐六方、一瞬しか見れませんでした~(;'∀')

一つ目の演目は、『義経千本桜 鳥居前』。
主人公の佐藤忠信実は源九郎狐、四代目尾上松緑、静御前は二代目尾上右近。どちらも好きな俳優さんです。
歌舞伎の演目の中でも超メジャーな演目ですが、実はまだ一度も生で観たことがなかったのでした。今回この演目見たさにチケットを取ったのですが、さっきも書いた通り、このお話の肝の部分、狐六方を見逃してしまいました[たらーっ(汗)]

二つ目、『二人椀久(ににんわんきゅう)』。
長唄の舞踊作品として人気のある演目ですが、内容はよく知らず、勝手に何となく、二人でおもしろ楽しく踊る舞踊だとイメージしていました。が、全く違ってました。
人を愛しすぎた男の切ない物語。。。幻想の中で愛おしい人と踊り過ごす、とても美しくて切ない舞踊でした。
主人公の椀屋久兵衛を五代目中村時蔵、松山太夫を四代目中村梅枝が演じます。。。って、親子です、お二人は!! 中村時蔵丈の女方はこれまでにも何度も観ていますが、立役も素敵ですね。それ以上に目に留まったのが、御長男中村梅枝丈の美しさ。この松山太夫も妖艶で美しかったですが、この日はあと二役を務めていて、その存在感もとても良かったので、私の中での注目度がアップしたのでした。

三つ目、『野晒悟助(のざらしごすけ)』河竹黙阿弥作の世話物。
当代尾上菊五郎が主人公野晒悟助を勤めます。悟助のモテモテぶりと大立ち回りがとびっきり面白い作品です。
悪人に絡まれているところを助けてもらった二人の女性から、ほぼ同時に(!?)求婚されるんですが。。。この二人の女性がお茶目なお嬢様小田井役の中村梅枝丈とけなげな娘お賤役の尾上右近丈。
結婚を断ったのに「私と結婚してくれなければ死ぬぅ~[exclamation]」と小田井に迫られて祝言を上げた悟助、『え、そんなに簡単に結婚するんかい!!』と突っ込みたくなる展開。その祝言中に尋ねてきたお賤にも求婚されて「やって来る順番が遅かった」と宥める悟助。。。現実世界にもそういう話ありそう。。。(^^;
一足遅れで結婚出来なかった娘を不憫に思うお父さん侘助が、「そんなら、半月交代で妻にしてくれませんか」なんて~[わーい(嬉しい顔)] 大爆笑でした。
他にも笑いを誘う会話が満載。そんな物語の展開の面白さと、音羽屋と描かれた傘を使っての大立ち回り、半端なくカッコ良かったデス。

ところでこの作品、幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者河竹黙阿弥の作。名前は歌舞伎を知る前から聞いたことはあった。なんといってもインパクトのあるお名前ですもんね。しかしながら、歌舞伎狂言の作者さんとは知りませんでした。
調べてみると、たくさんの数の作品を書いていて、現在の歌舞伎公演でも、毎月必ずどこかの公演で上演されているそうです。そう言われて私が今まで観た歌舞伎演目を見返してみると、『雪暮夜入谷畦道』『土蜘(つちぐも)』『弁天娘女男白波』が河竹黙阿弥の作品でした。今回の『野晒悟助』と『連獅子』も彼の作品です。

さて今回昼の部、幕間はお弁当ではなくて、御園座1階にある御園小町で買ったサンドイッチにしました。
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アボカドとサーモンのサンドイッチ。これだけでは足りなかったので、2階売店で買ったミックスサンドも食べました~

昼の部が15時過ぎに終了して、夜の部が始まるまで約1時間。昼と夜を通して観る時、歌舞伎座では外に出ずにロビーで過ごすことが出来ます。中にいるスタッフさんにチケットを切ってもらいます。
が、御園座は・・・? よく分からなかったので一旦劇場の外に出て、近くの喫茶店で時間を潰しました。御園座の周辺、あんまり喫茶店がないんですよね~

夜の部。お席は、2階1列25番。こちらは2階席ですがA席、S席よりは安いですが、歌舞伎座の桟敷席と同じ値段。。。やっぱり高い(^^;
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2階席の一番前列なので眺めが良く、舞台全体を見渡すことが出来ます。ただこちらの席も、花道は半分ほどしか見えないので、揚幕が上がるチャリンという音が鳴って、1階席の方から拍手が聞こえても、誰が出てきたのかが分からず、2階席はほとんど手を叩いていない。。。これは歌舞伎座でも同じなんでしょうが。
しかしながらそれでも、チャリンと音が鳴ったタイミングで、2階後方席から大向うさんが声を掛けるのがスゴイです。誰が出てきたのか見えないのに、です。
ところで、歌舞伎座は3階席があって大向うさんたちはだいたい3階席の一番後ろの方におられますが、御園座では2階席までなので、2階席にいると大向うさんの掛け声がけっこう大きく聞こえて、ちょっとびっくりしてしまいました。
もうひとつ、大向うさんのことでびっくりしたのが、『待ってました!』の掛け声があったこと。もう既に30公演ほど歌舞伎を観に行っていますが、この掛け声は初めて聞きました。大向うさんの掛け声、屋号だけかと思ってました…

さて、昼の部の一つ目は『女暫(おんなしばらく)』。二代目中村魁春が巴御前を勤めます。
この『女暫』も今回観たかった演目の一つ。だって、大好きな海老さまの歌舞伎十八番『暫』の女性バージョンなんですヨ[るんるん] あの面白い作品がどうなるのか、興味津々。
・・・期待通りの面白さで、「やっぱり歌舞伎ってほんとに面白い」と改めて思わせてくれました。
『暫』とは舞台設定が変わるので、鎌倉権五郎は巴御前、悪役も違う人物に変わりますが、なぜか鯰坊主や赤っ面の成田五郎らの濃いキャラクターが同じように出ていて、居並ぶ場所も同じ。もちろん揚幕から聞こえる「し~ば~ら~く~」や、ストーリー展開やツラネ、「アーリャー、コーリャー」という化粧声も一緒。完全に『暫』のパロディー版。
でもそこはやっぱり巴御前という女性が主人公なので、単に強い正義の味方だけではない、女性らしさが出る演出も面白さに華を添えています。最後の引っ込みも、「こんな引っ込みの仕方があったのか~[exclamation]」と、面白さ全開でした[ひらめき]
なので、『暫』を観たことがあると、その違いも面白さに加わり、何倍も楽しめる感があります。

二つ目は『連獅子』、四代目尾上松緑が親獅子、萬屋中村萬太郎が仔獅子を勤めます。
連獅子は昨年7月、海老さまの親獅子、みっくん(坂東巳之助丈)の仔獅子を観たことがあり大感激しましたが、違う俳優さんがやっても、とても迫力があって見応えバツグンな演目です。
連獅子といえば後半の毛振りの場がとても印象的ですが、実は三部構成。
最初は、狂言師右近と左近が、清涼山の石橋の景色とそこに現れる獅子の様子を舞います。この舞踊は凛とした雰囲気の踊りです。
狂言師たちが立ち去った後は、間狂言とよばれる狂言舞踊。異なる宗派の僧二人による、面白い掛け合いが続きます。さきほどの狂言師による舞踊とはまったく趣が異なるので、「なんでいきなりこの展開になるの~?」と思うんですが、間狂言とは、狂言師が獅子の姿に変わる間の繋ぎのこと。まったく違うキャラクターが出てきて、違うお話が展開するんですが、最後にはちゃんと獅子の登場に繋がっていきます。
そして、親獅子と仔獅子の登場。。。紅白の毛を左右に振るう「髪洗い」、回転させる「巴」、舞台に叩きつける「菖蒲叩き」という所作が満載の、激しく踊り狂う勇壮な獅子たちの競演が圧巻です。
さて、今回の仔獅子は中村萬太郎丈、さきほど登場した五代目中村時蔵丈のご次男。中村梅枝丈の弟さんですね~ 初役だそうですが、とても元気のよい仔獅子でカッコ良かったです。もちろん、尾上松緑丈の迫力もすごかったデスヨ。。。体力的にはなかなかキツそうでしたが…

今回のオーラスは、『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』。こちらも有名な世話物の一つ。全部で九幕もある長編ですが、このうち今回の『木更津海岸見染の場』と『源氏店妾宅の場』の二場のみの上演が多いようです。
主人公の切られ与三郎を四代目中村梅玉、相手役のお富を五代目中村時蔵が演じます。
中村梅玉丈、二代目中村魁春丈の実のお兄さんですが、屋号が違うのは、歌舞伎界ならではの複雑な事情のせいでしょうか・・・
お話そのものは、男女の恋愛がメインストーリーの分かりやすいお話ですが、市川左團次演じる和泉屋多左衛門の登場で、ほっこりとした温かい余韻を残します。

夜の部の幕間はこちらのお弁当。
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とても美味しいお弁当でした。

…が、御園座に来たらいつも気になるのが1階にある鰻うおか冨士さんの鰻弁当。お弁当としてはよいお値段ですが、お店で食べるうな重と比べるとお得。なにより、美味しそう[ぴかぴか(新しい)] いつか食べるぞ~
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