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六本木歌舞伎羅生門 [歌舞伎!!]

3月16日、大阪のオリックス劇場に海老さまの六本木歌舞伎『羅生門』を観に行ってきました。

海老さまの六本木歌舞伎は第三弾。昨年の『座頭市』は中日劇場へ部下を誘って行ったんですが、今回はおひとり様で。
席は後援会で手配してもらったので、4列目29番という良席でした(*^-^*)

六本木歌舞伎はいわゆる新作歌舞伎と言われるジャンルで、通常の歌舞伎には出演することのない俳優さんや女優さんが重要な役どころで出たり、映画や演劇の演出家による歌舞伎です。今回はV6の三宅健さん、昨年は寺島しのぶさんが海老さまのお相手を勤めました。これまでの3作とも三池崇史監督の演出です。

お話は芥川龍之介の羅生門と渡辺綱の鬼退治の話をミックスした創作で、羅生門のおどろおどろしい世界観と鬼退治の様子がよく描かれているなぁ~と思いました。

羅生門というお話は、人間のエゴイズムがテーマ。
主人公の下人(三宅健さん)は、荒廃した羅生門の楼上で、死人の髪の毛を集めていた老婆(海老さま)と出会う。生きるために死人の髪の毛で鬘を作るという。生きる気力をなくしていた下人は、老婆の話を聞いて奮起する。『生きるためならば、お前から着物を奪っても文句はないな』と追い剥ぎをした挙句、老婆を殺してしまう。。。
そこへ登場するのが、本物の鬼。歌舞伎の演目でも有名な茨木童子。下人もまた、この茨木童子に殺されてしまい...

さらにその後登場するのが、現代の市川海老蔵! 本人が本人役で出て、しかもいつもブログでお目にかかるジャージ姿[ぴかぴか(新しい)] 
ジャージ姿の海老さまと三宅健さんが絡むシーンは、完全に歌舞伎の世界とは違うファンサービスの時間になっていまして。。。
海老さまファンにとってはめちゃくちゃ盛り上がるシーンでしたが、歌舞伎役者としての市川海老蔵を観たいと思って来ているファンにとっては、ちょっと世界観が違い過ぎて引いてしまっていたかも。

第一幕はそういうゆるゆるシーンが満載でしたが、第二幕目は一転、歌舞伎独特の大立ち回りアリ、荒事の見せ場アリ、海老さまの睨みアリ・・・と、第一幕で引いてしまった方にとってもそれなりに満足出来る構成だったかも。
カーテンコールは7~8回、スタンディングオベーションで大盛況でしたが・・・

歌舞伎座に毎月通っている歌舞伎通の方からすると、内容が薄くて物足りない感じがするかもしれないですが、歌舞伎を観たことがない人が歌舞伎の演出の面白さを感じることが出来る舞台かと。。。歌舞伎に興味を持つきっかけ作りという立ち位置なのかも。

正直言って、歌舞伎の所作を全く勉強したことがない俳優さんが大立ち廻りや見得をするのには、違和感を感じてしまいました。けっして、三宅健さんがダメだという訳ではなく、かなり練習して奮闘されていたと思います。が、歌舞伎の面白さは、ほとんどの俳優さんが子供の頃から歌舞伎の所作を勉強されているので、花形スターじゃなくても、全員が半端なくカッコいいところなんです。それぞれの俳優さんたちが努力して培ってきた成果、技量のすごさを感じることが出来る楽しさがあります。
昨年の寺島しのぶさんは、生まれた時から歌舞伎の世界のことをよく知っている『歌舞伎女優』さんなので、全く違和感がなく、それどころか歌舞伎の厚みを増してくれる演技をされていました。男性しか歌舞伎俳優になれないしきたりの中、女性が歌舞伎俳優になる可能性を、充分見せつけてくれた気がしました。
でも、寺島しのぶさんはかなり特別な女優さん。歌舞伎について素人の俳優さんが出演するのなら、歌舞伎俳優さんと同じような歌舞伎ならではの演出をやるのではなく、現代劇や時代劇の演出をメインにした方が良いのでは?と思ったのでした。歌舞伎独特の演出はプロに任せるべきかと。

そういう意味では、賛否両論、受け止め方も色々あると思いますが、六本木歌舞伎は、海老さまが市川宗家当主としてこれからの歌舞伎界をどうしていくか、試行錯誤していく場の一つではと思いますので、これからも見届けて行きたいと思います。。。


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