SSブログ

七月大歌舞伎 [歌舞伎!!]

5月に初めて歌舞伎を観て、すっかり海老蔵さんと歌舞伎にはまってしまいました。

團菊蔡五月大歌舞伎に続いて、七月大歌舞伎にも海老蔵さんが出るし、しかも、海老蔵さんのお子さんの勸玄君が4歳にして初めて宙乗りに挑戦するなんて~!!これはもう行くしかないと。7月8日と9日の土日で、歌舞伎を観るためだけに東京へ行くことにしたのでした。

歌舞伎座での公演は、だいたい毎月初めから25日間行われて、チケットの一般発売は前月12日になっています。なので6月12日の夜にこの七月大歌舞伎のチケットを予約したんですが、すでに良い席はほとんどない状況でした。
8日の夜の部は2階7列32番、9日の昼の部は2階4列12番という席。この席だと2階でも1等席。

ちなみに歌舞伎のチケットってどれくらいするものかと言うと…
一番お高いのは1階桟敷席。公演によって異なりますが、だいたい18,000円~20,000円くらい。桟敷席は掘りごたつ式の畳の座席にテーブルがついています。舞台に向かって両脇の席です。1階席よりも高くなっているので、人の頭に遮られることなく観ることが出来るようです。ただ、西側の桟敷席からだと、花道で見得をきる役者さんの後姿を見ることになるようです。

次に高い席は1等席。歌舞伎座の場合は、1階16列目までと2階7列目までと2階桟敷席。だいたい15,000円~18,000円くらいです。

2等席は1階後方と2階後方で11,000円~14,000円、3階A席5,000円~6,000円、3階B席で3,000円~4,000円です。

昼の部も夜の部も観ようと思うと、それぞれにチケットが必要になるので、かなり高額になってしまいます。。。[あせあせ(飛び散る汗)]
なのでチケットは3階席から早く売れてしまいます。席が後方でも、オペラグラスがあればちゃんと役者さんの顔が見えますからね。

もう一つ、3階席が早く売れてしまう理由があります。
『成田屋!』『音羽屋!』という歌舞伎ならではの掛け声を聞くことがありますよね。これは掛け声とは言わず『大向こう』というそうです。
この大向こうを発声する人は、3階B席や4階の一幕見席におられるのです。一幕見席というのは一幕だけ見られる席で、700円~2,000円位の席です。『好きな演目の一幕だけを何度も観たい!』というような通な見巧者さんたちにとっては、有り難い席です。
つまり、何度も通っている見巧者さんたちが多い席、ということです。

大向こうを掛けるにもルールがあります。役者さんの邪魔をせず、しかも天井に反響して程よい掛け声に聞こえるように、舞台の一番遠い所から声を掛けるのです。なので『大向こう』と言うのですね。逆に、1階席の舞台真ん前から声を掛けるのはご法度とのこと。

それと、女性が『大向こう』を掛けるのもご法度。もともと歌舞伎は役者さんは男性のみ。舞台では女性の役も男性の役者さん、女形さんが演じており、声音は女性のものらしいですが、実際には男性の声音しか聞こえないはずの世界。そこに本物の女性の声で大向こうが掛かると、舞台の世界観を壊してしまう。。。ということのようです。

もうひとつ面白いことに、この大向こうを掛けるのは『大向こうの会』に所属している人たちがほとんどだそうです。大向こうの効果的な掛け方や、役者さんの邪魔にならない粋な掛け方をいろいろと勉強しておられるとか。
すごいですね~

それでは、歌舞伎座へ。
P1010176.jpgP1010175.jpg
大入りのお札が出てますね~。

さて今回の歌舞伎座の演目です。
土曜日の夜の部は、通し狂言『駄右衛門花御所異聞(だえもんはなのごしょいぶん)』
発端、序幕、二幕目第一場、二幕目第二場、二幕目第三場、大詰第一場、大詰第二場、大詰第三場と、2時間55分の長いお話。
この演目では、海老蔵さんは主人公の日本駄右衛門のほか、主要人物の玉島幸兵衛、秋葉大権現の三役をこなします。どの役もカッコいいんですが、玉島幸兵衛とお才(中村児太郎)との切ない場面には思わず泣いてしまいました。

何といってもこの七月大歌舞伎の一番の見どころが、海老蔵さん扮する秋葉大権現と勸玄くん扮する白狐が宙乗りをする場面。初日には、ワイドショーやネットなどで勸玄くんが手を振りながら、堂々と宙乗りをこなしている場面が流れてましたね~
『白狐よ、来たれ~』
『はぁ~い。勸玄白狐、御前に~』
どの役者さんよりも大きな声で、花道から勸玄くんが現れます。そのあと海老蔵さんが脇に抱っこして、1階から3階の高さへ吊り上げられ、舞台から3階席の後方までゆっくりと宙乗りしていきます。
もう、大拍手でした。
勸玄くんは、宙乗りしながら客席を見回し、お客さんに向かって小さな手を振り続けていました。3階の高さというとけっこう高いですが、怖がる風もなく、とてもリラックスした表情で客席に手を振る余裕。4歳とは思えないほど、堂々としていました。次の次の市川團十郎、大物の片鱗をすでに発揮しています。
P1010177.jpgP1010178.jpg

日曜日の昼の部1演目目。歌舞伎十八番の内『矢の根』
市川右團次の曽我五郎、すごく面白かったです。さすがに歌舞伎十八番というだけあって、シンプルなお話なのに面白いのです。
P1010179.jpg

昼の部2演目目。『加賀鳶』
海老蔵さんが二役務めます。加賀鳶(江戸の町火消)の頭の天神町梅吉と、按摩の竹垣道玄。
この竹垣道玄、平気で人を手にかけるようなずる賢い悪人なんですが、どこか愛嬌のある役柄。加賀鳶の梅吉はみんなのまとめ役でカッコいい役どころなんですが、この道玄との演じ分けが素晴らしい。全く別人にしか見えません。梅吉を演じる海老蔵さんはいつも通りにひたすらカッコいいんですが、一方の道玄は全く嫌な奴だけど、しぐさや表情は笑いを誘うおとぼけた感じ。。。カッコよくない海老蔵さんにも惹きこまれました。
この演目は、序幕、二幕目、三幕目第一場、第二場、大詰第一場、第二場と全部で六つの幕があり。1時間43分の上演時間なんですが、海老蔵さんはほぼ出ずっぱりでした。
しかも主役なので長台詞が続くんですが、一瞬の淀みもなく台詞が頭に入っていて、本当にすごいと思いました。
麻央さんが亡くなったあとすぐに稽古に入って、『台詞が頭に入らない』とブログに書いておられましたが、そんな状況だったなんてまったく思わせない演技で、ほんとうに感動しました。
P1010180.jpg

昼の部3演目目。『連獅子』
海老蔵さんが親獅子の精、坂東巳之助さんが仔獅子の精。2人の獅子が踊り続けます。そして最後には、長い毛を前後左右に振り、クライマックスへ。
台詞はないけど30分近く踊り続けるので、この振り付けを覚えているだけでもすごいです。
P1010181.jpg

どの演目も面白くて、長丁場なのにあっという間でした。
歌舞伎がこんなに面白とは。ほんとに、思い切って歌舞伎鑑賞の世界に飛び込んで、大正解です[ぴかぴか(新しい)]

ただ、ちょっと残念なことが…
それは、観客のマナーの悪さです。『後ろの人が見えなくなるので、前乗りにならないでください』と注意書きやアナウンスが何度も流れるのに、花道が見えないと身を乗り出して観ている人が多いのです。2階席は元々花道が見えにくいのですが・・・きちんと椅子の背に背中をつけて座れば、ある程度は見えるようになっているのです。
舞台に夢中になり過ぎて、他の人のことまで考えが及ばないのかもしれないけど、ほんとにがっかりさせられました。
前回は1階席でしたが、今回ほどにはマナーの悪さを感じませんでした。1階席のお客さんは本当に歌舞伎が好きなリピーターさんが多いのかもしれません。
それに比べると2階席のお客さんは、ちょっと雰囲気が違っていました。グループ連れの人が多い。その中の誰かが歌舞伎好きで、それほど歌舞伎を好きでもない家族や友人を誘って来ているような。

ということで、一般発売ではなく、先行発売でチケットを買えるように、松竹歌舞伎会に入会しました。ただ、まだ会員証が届くのには時間が掛かるので、八月納涼歌舞伎は一般発売日の10時過ぎにスマホから予約しました。。。11時過ぎにやっとネットに繋がって予約したものの、すでに1階席はありませんでした(;'∀')
八月納涼歌舞伎には海老蔵さんは出ませんが、市川染五郎、市川猿之助、中村勘九郎、中村七之助、市川中車・・・テレビにもよく出ている役者さんたちが勢ぞろい。猿之助さんも好きな役者さんなので、やっぱり見てみたい…ということで。
またまたお泊りで、朝、昼、夜の部と全部。お金が一気に無くなります。。。。