SSブログ

新作歌舞伎風の谷のナウシカ [歌舞伎!!]

12月14日、新橋演舞場での『風の谷のナウシカ』を観に行ってきました。
DSC_0001.jpgDSC_0004.jpg

『風の谷のナウシカ』は、アニメの宮崎駿監督が37年前から13年も掛けて雑誌に連載した7巻におよぶ長編漫画。35年前にアニメ映画化された『風の谷のナウシカ』は、全7巻のうちの1~2巻の一部分しか描かれていませんが、今回の歌舞伎版では7巻全てを昼夜通し狂言として上演されます。

映画版は公開当時に観ましたが、安田成美さんの歌しか印象に残ってなくて…(^^; 熱心なジブリファンでもなくストーリーや登場人物などほとんど覚えてなかったので、この演目が発表されたあと、予習のためにDVDを借りて原作7巻も大人買いして読みました。
映画版のナウシカはあくまでもプロローグ的な感じで、宮崎駿監督がライフワークとして描きたかった世界観やテーマは、原作漫画を読まなければ分からないと思いました。原作漫画を読むには老眼鏡が必須でしたが…(^^; ほんとうに様々な深くて重いテーマが投げかけられていて、読後のスッキリ感はなく混沌としたかんじになりました。

この深くて重いテーマを歌舞伎で表現するって、いったいどうするんだろう~??という期待感マシマシ。たぶん、原作漫画ファンの方も同じ思いなのか、いつもより30~50代の男性のお客さんが多かった気がします。

そうはいっても歌舞伎はドキドキワクワクのエンターテイメント。歌舞伎が面白いのは、俳優さんたちの演技や舞台演出、音楽などを駆使して、非日常の世界へ連れて行ってくれるから。この新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』は、歌舞伎ならではの面白さが満載の上に、原作漫画の名場面を見事に忠実に再現されていました。どのキャラクターも違和感なく、というよりもむしろモノ本。外見や衣装だけでなく、俳優さんたちの演技が正にキャラクターに同化しているので、原作漫画を読んだことがある人は、かなりツボにはまったんじゃないかと。

もうひとつ、すごくイイ仕事してるな~と思ったのが、舞台美術。なんといっても、王蟲と巨神兵がすごい[ひらめき] 漫画では2次元の王蟲や巨神兵が、実際に3次元の世界にいたらこうなんだろうなぁ~というリアルさ。腐海や墓所の様子も、原作漫画のイメージ通りでした。
なので、歌舞伎を初めて観たという原作漫画ファンの方にとっても、思っていた以上に大満足出来るものだったと思います。

・・・残念ながら、菊之助さんが公演3日目に腕を怪我されてしまったので、復帰後は腕に負担が掛からないように、いろいろな演出が変更になってしまいました。舞台稽古の様子がマスコミに公開されていたので、菊之助さんが宙乗りでメーヴェに乗って行くシーンや京鹿子娘道成寺を取り入れた舞踊などがあったようですが、私が観た公演ではそのシーンはカットされていました。
ただそのことを知らなければ、菊之助さんが腕を怪我されているなんて分からないほどで、その分、尾上右近さんや松也さんたちが本水での立ち廻りなどで盛り上げていましたヨ~

大詰、墓所の主とオーマが闘う場面、こんな戦い方があったのか~[exclamation×2]とびっくり仰天。ほとんどの歌舞伎ファンが大好きなアレで決着させるなんて。。。まだ上演中なのでこれ以上は書けませんが、初めて歌舞伎を観る方にとってはなんともラッキーな演出でしたね~

菊之助さんのナウシカは、ほんとに可愛らしい。グランメゾン東京の丹後さんと同一人物だということを知らない人もいたんじゃないでしょうかね~

七之助さんのクシャナは圧巻[ぴかぴか(新しい)] カッコ良過る~
七之助さんといえば、昨日『中村屋ファミリー』がOAされてましたが、この1年で大役をたくさん勤めただけでなく、ほんとうに存在感が大きくなってきた感じがします。中村屋さんの贔屓でなくとも『七之助が出るなら観に行こうか』と思わせる、お客さんを呼べる俳優さんになったなぁ~と。

松也さんのユパは、年齢的な違和感を全く感じさせないほどにダンディ。右近さんは今回、本水での大立ち回りだけでなく、ラストシーンでも大活躍[ひらめき] ケンケンファンにとっては嬉しい活躍ぶりでしたね~
巳之助さんのミラルパとナムリスの演じ分け、お見事です。

昼の部のお席は、なんと右端最前列。この角度からだと舞台右端は見キレてしまうけど、その代わり最前列なので、やっぱり近い[exclamation]
DSC_0002.jpg

昼の部の幕間では、久しぶりに劇場のお弁当を。
DSC_0006.jpgDSC_0005.jpg

昼の部が終わって夜の部へ。通しといえども、チケットは別々なので、お席も移動。
DSC_0007.jpg
今度は1階中央の一番後ろの席。遠いけど、俯瞰して見える席でこちらもなかなか良かったです。
そして・・・私の後ろには席がないはずのところ、開演直前にお子様二人を含む御一行様に席が用意されて・・・なんと、クシャナ様の甥っ子たち、勘太郎くんと長三郎くん、そしてお母様と兄嫁様が、観劇されていました。私の真後ろなので、二人の話し声も良く聞こえまして、長三郎くんが『蟲、怖い~』と言ってました(^-^)
昨日の『中村屋ファミリー』でも二人の成長ぶりが微笑ましかったですが、勘太郎くんはもうすっかり少年の顔。今年は大役を二つも勤め、歌舞伎俳優としての自覚がしっかり身についてきたような顔つきでした。長三郎くんも相変わらずの元気ぶりでしたが、ちょっとお兄ちゃんになってきた感じでしたね。

今回の新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』、本当に良かったです。菊之助さんが何年も前から構想を練ってやっと実現できた公演なので、怪我のために演出を変更せざるを得なかったのは、とても残念だったと思います。出来ればまたいつか、フルバージョンの『風の谷のナウシカ』を再演してもらえたらいいな~


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇