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“金貸し”って、どうよ [おしごとのこと]

ヴァイオリンのこと書く前に、ちょっと書いておきたいな~ということで。私のおしごとの事。
私、“金貸し”という職業をやってますです。もう17年半も。

よく考えてみれば、ヴァイオリンを拙くもキーゴキーゴと掻き鳴らしている時間よりも、
ベートーベンのヴァイオリンソナタ第5番第1楽章、ヤッシャ・ハイフェッツの演奏とその他のヴァイオリニストの演奏とを聴き比べて、ほぉ~っとため息ついてみたりしてる時間よりも。
ボロディンの弦楽四重奏第2番第3楽章にどっぷりと浸っている時間よりも。
勝手にいろんな空想をして、原稿用紙に向かっている時間よりも、
島田荘司さんとか宮部みゆきちゃんとか、京極夏彦くんたちの繰り出す世界に夢中になっている時間よりも、
大好きな椎名桔平さんのシブーぃそしてセクシィな演技に見惚れている時間よりも。
そして何より、いろいろなことに想いを馳せながら焼酎を嗜む……酩酊の時間よりも。
それらの時間よりももっとたくさんの時間を、私は、“金貸し”という仕事に費やしているわけです。17年半もやったら、もう立派なライフワークだわなぁ~

最近とくに、“貸金業規制法の改正”とか“グレーゾーン金利の撤廃”とか“多重債務者問題”とか。金融業をやってる人にとっては厳しい風潮になってきてます。貸す方が“悪”で、借りる方が“弱い立場”っていう風潮。
“金貸し”って言っても、銀行、ノンバンク、消費者金融、街金、闇金……いろいろな業態があって一口には語れないけど、どんな業態であれ、金融業に携わっている人は、“自分のやってる仕事って、悪いことなの?非難されることなの?”って思ってる人、多いと思う。これって永遠のテーマ。

自分が融資することで、その人がその後どうなるだろう……ってこと、たとえば、うちで借りたあと返済ができなくなって家を手放すかもしれないとか、そういうことをわかってても、融資することが仕事だから融資する。
“お金を必要としている人がいるから”
“借りる人の自己責任”
“貸さないと営業ノルマが達成できないから”
“儲かればいい”
“うちで貸さなくても、他に貸すところがある”
そんな風に思いながら、仕事している(気がする)。自己弁護している自分自身に疲れながらも……

でもね、うちの上司が言ったんだ。“この融資が、お客さんのためになるかどうかを考えなさい”って。“あえて貸さないことも、選択肢にあるよ”って。
支店の営業成績が悪いと、どこかに飛ばされちゃうかもしれないし、給料やボーナスも下がっちゃうかもしれない立場の人なのに。彼が言うには、
“お客さんのことを本当に考えて、誠実に対応すれば、巡りめぐって利益につながる”
“金融のプロなんだから、お客さん以上にお客さんの将来のことがわかるでしょ。親身になってアドバイスしてあげれば、お客さんは信頼してくれる。信頼されることが自分の糧になる”
“自分の息子に、胸を張って言える仕事をしたい”って。
なるほどなぁ~( ..)φメモメモ う~ん、こういうことを部下に話ができる人って、スゴイ。
それでも彼のこの信念とかポリシーの真偽を確かめるために、私は彼の意見に反駁を試みたけれども、その反駁は、私の中にある“金貸し”が抱える疑問への明瞭な回答を導き出すのに、充分役に立った。

貸す“人”と借りる“人”がいるってこと。当たり前のことなんだけど、意外と気がついてなかったりする。貸す方も借りる方も。
でも、彼が言ってることは、こういうことなんだな~って思う。お客さんのためになるかどうかを考える”ってこと、なかなかムズカシイ。でも、そう在りたい。

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らいけん

すごい、そういう上司もいるんですね。
by らいけん (2006-09-21 18:33) 

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