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芸術祭十月大歌舞伎2018年 [歌舞伎!!]

10月21日、歌舞伎座へ行ってきました。翌日の月曜と火曜日に東京本社での研修があるので、今回は交通費も宿泊費も掛からないで歌舞伎が観られる。3週間連続ですが、行かない訳にはまいりません。

日曜日はピーカンの[晴れ] 沖縄以外の全都道府県が[晴れ]マークなんて、なかなかあることではないですよね~
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絶好の富士山日和[ぴかぴか(新しい)] 

十月の歌舞伎座は、十八世中村勘三郎丈の七回忌追善公演でもあります。なので今回の演目は中村勘三郎丈にゆかりの深い演目が並びます。
御存命の時は歌舞伎には全く興味がなかったので、歌舞伎をなさっている勘三郎丈を観たことがありません。ほんとにそれが悔やまれる思いです。
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お父様の追善公演なので、もちろん当代の中村勘九郎丈と中村七之助丈の兄弟が主役を勤める演目が掛かります。そうそう、来月の9日、恒例の中村屋ファミリー密着ドキュメンタリーがOAされるそうですヨ。今回の十月の歌舞伎座と来月の平成中村座公演のことが披露されるとのこと。

昼の部は、1階16列13番。この席は花道の揚幕に近いので、揚幕が上がった瞬間から俳優さんたちをガン見することが出来ま~す[ひらめき]
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通常の揚幕はシックな紺や黒地に劇場の紋が染められた幕が掛かっていますが、今回はめずらしく五色の揚幕。昼の部の二つ目の演目で松羽目物が掛かるからですね~

昼の部一つ目は『三人吉三巴白波(さんにんきちさともえのしらなみ)』河竹黙阿弥作の七五調の名台詞が心地良い、有名な作品です。
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みっくん(坂東巳之助丈)、中村七之助丈、中村獅童丈、お気に入りの俳優さんたち揃い踏み[るんるん] 
出会いは喧嘩だったのに、三人とも同じ『吉三』という名前であることが分かったことで意気投合して、義兄弟の契りを結ぶ。。。白波として活躍する三人の出会いの名場面です。

二つ目の演目は『大江山酒呑童子(おおえやましゅてんどうじ)』十七世中村勘三郎丈のために書き下ろされた松羽目物の舞踊劇。
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大江山というのは私の実家のある丹後地方を代表する連山で、私が大阪から実家に車で帰る時、高速道路が出来るまでは大江山越えをしていました。とても馴染みの深い山なので、歌舞伎の演目でこの大江山が舞台の演目があることを知った時、どうしても観てみたいと思っていました。
これが、メチャクチャ面白かった~[ひらめき][ひらめき]
とにかく、酒呑童子を勤める中村勘九郎丈が、ほんとうに素晴らしい。舞踊劇なので台詞はそんなに多くないのですが、あんな風に踊りで喜怒哀楽を表現出来るのはスゴイです。
全体的に激しい動きの所作事が続くので、とても迫力があって面白いんですが、足にものすごい負担が掛かっているんだろうな~と、ちょっと心配にもなりました。

そうそう、この演目の最中に、近くで小さな子供さんのくしゃみが止まらなくて。そちらの方を観たら、勘九郎丈の下のお子さん、長三郎くんでした(^-^) お母様の前田愛さんが長三郎くんを抱っこして、隣にはお兄ちゃんの勘太郎くんも。お父様の酒呑童子、『将来、僕がこのお役を勤めるんだ~』ってな感じで、一生懸命観ておられましたヨ~

昼の部最後の演目は『佐倉義民伝(さくらぎみんでん)』
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当代松本白鸚丈が、主役の名主木内宗吾を勤めます。貧窮に喘いでいる農民たちのために、直訴に及ぶことを決意します。直訴はご法度、すなわち死を覚悟しなければならないのです。そのために、七之助丈が勤める女房のおさんや四人の幼い子供たちと涙の別れをするのですが。。。この場面がとても切なくて悲しくて。
最愛の家族と別れなくてはならない、自分の死と引き換えに農民たちのために行動を起こそうとする宗吾の悲哀を、白鸚丈は見事に表現されていました。

夜の部は2階4列31番。本当は20日夜の部のチケットを取ろうとしたんですが、松竹歌舞伎会会員の先行発売日10時にログインしたのにもかかわらず、ほとんど完売。21日も2階席しか取れませんでした。。。(;'∀')
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やはり、2階席後方からだと花道がほとんど見えません。。。

夜の部一つ目の演目『宮島のだんまり』 
歌舞伎の様式美が面白い『だんまり』を代表する作品。『だんまり』とは、暗闇の中で善人と悪人が宝物を探り合う様子のこと。暗闇の中なのでたくさんの登場人物はお互いには見えていないという設定で、みんな黙ったまま、ウロウロします。
でも、もちろん実際の舞台は明るくて、誰かにぶつかって驚いたり、みんながあちこちと手探りで探している中、中村扇雀丈勤める主人公傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎がちゃっかりと宝物をGETする、鮮やかな盗みの様子を楽しむことが出来ます。
この『だんまり』は歌舞伎ならではの演出で、他の作品でもよく観ることがあります。
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この演目の最大の見せ場は、最後の主人公の引っ込み。
物語の始め、主人公は美しい傾城浮舟太夫として登場します。傾城とは太夫などの高級遊女のことですが、城が傾くほど国主を色香で虜にする絶世の美女という意味があり、例えば楊貴妃のような存在です。
ところが実は、この傾城浮舟太夫は盗賊袈裟太郎の仮の姿。途中で本性を表して、鮮やかに宝物を盗むことに成功して、追っ手もかわして、悠然と立ち去っていく。。。この引っ込みが面白い。上半身は力強い袈裟太郎の六方、足は傾城が花魁道中で八文字を踏む歩き方という、『傾城六方』と名付けられた独特の引っ込みです。
残念ながら、この時の席からは足元がほとんど見えなかったんですが、想像するだけでも楽しい動きですね~

二つ目は『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)吉野山』
義経千本桜は源義経の悲劇にまつわるお話で、歌舞伎の演目の中でも超メジャー作品ですが、実は初段から五段目まであるとても長いお話。オムニバスのように段ごとに主役が異なるので、歌舞伎では物語の全てを上演することは少なく、人気の段を単独で上演することが多いです。この『吉野山』は四段目の道行初音旅(みちゆきはつねのたび)のお話で、所作事(舞踊)です。 
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佐藤忠信実は源九郎狐を中村勘九郎丈、静御前を坂東玉三郎丈、早見藤太を坂東巳之助丈が勤めます。
源九郎狐は、義経が静御前に託した初音の鼓に張られた夫婦狐の子どもで、義経の愛妾である静御前を陰ながら見守っているという役どころ、早見藤太は頼朝方の追手で、義経を捕まえるために静御前も捕まえようと色々と頑張ります。
前半は、静御前と忠信が義経のことを偲ぶ場面で、清元連中の情緒溢れる浄瑠璃と三味線にのってしっとりとした所作事が続きます。後半は、二人が追手の早見藤太に捕まえられようとする場面で、竹本連中が加わって躍動感のある掛け合いが繰り広げられます。

何度も上演されている人気作品だけあって、全体を通して面白かったけど、私的に一番面白かったのが、みっくんの早見藤太。道化役なので面白いのは当然ですが、脇役にも拘らずその存在感がスゴイ。ワンピースのボン・クレーもそうですが、真面目な役よりも道化役の方が本領発揮出来る俳優さんだなぁ~と思ったのでした。

夜の部最後の演目は『助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら)』
助六といえば、海老さま。成田屋のお家芸ですが、人気作品なので他の家の俳優さんが演じることもあり、今回の片岡仁左衛門丈の十八番でもあります。
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仁左衛門丈が勤める助六は吉原で大人気の伊達男。中村七之助丈が勤める吉原一の傾城揚巻は、間夫の助六にぞっこん、自分に入れ揚げる髭の意休が助六の悪口を言ったら、ものすごく辛辣な口調で言い返す・・・
そこへ助六本人が現れて、意休に喧嘩を吹っ掛けるところも見もの。通りすがりの人にもいちゃもんつけて、自分の股をくぐらせる始末。。。(^^; 伊達男なのに、なんでそんなに喧嘩っ早いの[exclamation&question] というみんなの疑問にお答えするのが、勘九郎丈が勤める白酒売り。
なんとこの白酒売りは、時代物でたびたび登場する曽我兄弟の兄曽我十郎。助六は実は弟の曽我五郎だったのです~[ぴかぴか(新しい)] 助六が誰彼構わずに喧嘩を吹っ掛けるのは、相手に刀を抜かせて、亡き父の仇討に所縁のある名刀友切丸を探すためだったということが分かります。
そしてその後、二人の母の満江が現れて喧嘩を窘められて兄弟が萎縮する件も面白いし、最後は探している友切丸を持っているのが、意休だった[exclamation]ということも判明して。。。
この『助六』はとても有名な演目で、助六の伊達男ぶりがとにかく印象的なんですが、お話自体もとても面白くて、2時間近くある長丁場の演目があっという間に感じられました。

題名だけは知っているけど観たことがない演目とか、初めて題名を聞く演目がまだまだたくさんありますが、『こんなに面白いストーリーだったのか~[ひらめき]』と、観るたびに興味が深まって、ワクワクさせてもらっています。
曽我物といえば荒事というイメージでしたが、仮の姿で過ごす主人公が実は曽我五郎だった・・・というお話もたくさんあるようですね。面白いなぁ~[わーい(嬉しい顔)]


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大阪松竹座十月大歌舞伎2018年 [歌舞伎!!]

10月13日と14日、お泊りで大阪松竹座へ行ってきました。今回は、実家の幼馴染二人を誘っての観劇。二人とも今回が初めての歌舞伎。楽しんでくれるといいんだけど[るんるん]

梅田でのヴァイオリンレッスンの後、なんばへ。友達との待ち合わせまで時間があったので、6年半前まで働いていた職場のあるビルまで行ってみました。
よく考えると、大阪松竹座からは歩いて1、2分位のところに毎日通ってたのでした。当時はまったく歌舞伎に興味がなかったので無縁の場所でしたが、こんな近くにあったなんて。。。とちょっと感慨深いものが。

そういえば名古屋に転勤してから、なんばへは一度も来たことがなかったかも。なので、道頓堀の人の多さにびっくりでした。というより、ここはどこの国[exclamation&question]ってなかんじで、インバウンドMAXですね~

大阪松竹座、今回私も初めてで劇場内の勝手が分からず、クロークにヴァイオリンを預けたり、二人の分のイヤホンガイドを借りたり、売店でお弁当を買ったり…開演までの30分が慌ただしく過ぎました。
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なので、最初は気付かなかったけど、2日目の公演が終わった後にやっと気付きました。歌舞伎十八番『暫』の鎌倉権五郎[ひらめき] 1階玄関を入った真正面にいましたヨ
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今回は、市川右之助改め二代目市川齊入と市川右近改め三代目市川右團次の襲名披露公演です。お二人とも大阪出身なので、地元での襲名披露公演が出来ること、ほんとうに感慨深いとおっしゃってます。

市川齊入丈は、十二代目市川團十郎丈の元で長年修行をされていたので、海老さまが小さい頃からよく知っておられる方。そして市川右團次丈が澤瀉屋から高嶋屋の屋号を名乗り、上方ゆかりの名跡である市川右團次を襲名することを勧めて取り持ったのが、海老さまだそうです。
なので、二人の襲名は海老さまにとっても関わりが深いことから、今回の襲名披露公演にも出演しています。
そして右團次丈が長年市川猿翁丈の弟子として修行をしてきた縁で、四代目市川猿之助丈率いる澤瀉屋一門も、この公演に華を添えています。

ということは、現在の歌舞伎界の二大スターが大阪で同時に観られる。。。これはもの凄くレアな出来事なのです[ひらめき]
実は歌舞伎座でも二人が同じ公演に出ることは滅多にありません。前回二人が同じ演目に出ていたのが、今年二月の高麗屋三代同時襲名披露の『壽三代歌舞伎賑 木挽町芝居前』。これは襲名披露祝いの演目なので、他の幹部俳優たちもたくさん出ている中での顔揃え的な共演。
なので、本当にこの機会を逃すと、次にいつまた同じ舞台で観られるかわかりません[exclamation×2]

今回の演目のラインナップ。
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1日目、夜の部は通し狂言『雙生隅田川(ふたごすみだがわ)』。
市川右團次丈と息子さんの市川右近ちゃん、そしてなんと市川猿之助丈三人が宙乗り相勤め申し候~[ぴかぴか(新しい)]
この演目は澤瀉屋のお家芸で、三代目市川猿之助丈の跡を継いで右團次丈が昨年1月新橋演舞場での襲名披露公演で主役を演じた演目。近松門左衛門作の名作です。
双子の子供に襲い掛かる悲劇を中心に、我が子を失って物狂いとなった母親、主君の子供の命を奪ってしまい、ぶっかえって天狗になった人買いの男の悲哀が見どころ。

かといって、悲しいだけの物語ではないのが歌舞伎の面白さ。最後には離れ離れになった親子の対面が叶ったり、失われた宝を取り戻して、ハッピーエンドになります。
そのハッピーエンドに繋がるのが『鯉つかみ』。本水での大立ち回り、これが本当に面白かった~[わーい(嬉しい顔)] いやぁ~、ほんと、その面白さ、言葉では言い表せません。。。

夜の部が終わって、日本橋のホテルへ向かう途中、大阪には滅多に来ないという二人のために、せっかくなので戎橋には行っときましょう~ということで。
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その後、ちょっと飲めるお店を探しつつ道頓堀筋を東に向かいましたが…夜も9時過ぎというのに大混雑。しかもほとんど外国人。。。凄すぎる[あせあせ(飛び散る汗)] ほんとにここは日本??
メイン通りのお店は人がいっぱいで入れず、脇の通りで見つけた居酒屋さんで、しばしおしゃべりタイムを楽しみました。
二人とも主婦で、こんなに夜遅く繁華街で飲むことも滅多になく、しかもその日のお宿の近くだったので、時間を気にすることなく飲めることに、とても開放感があるようでした。たまには、イイよね~って。

さて、2日目、昼の部の最初の演目は『華果西遊記(かかさいゆうき)』。こちらも雙生隅田川(ふたごすみだがわ)と同じく三代猿之助四十八撰の内の演目で、右團次丈が何度も演じているお家芸です。
この演目でも、右團次丈と右近ちゃん、飛びます[るんるん] 
このお話は西遊記の蜘蛛の妖怪と闘うお話。どこともなくたどり着いた三蔵法師たちを待っているは、美しい姉妹の姫君たち。ところがこの姉妹は実は・・・蜘蛛の妖怪[あせあせ(飛び散る汗)] 
姉蜘蛛を勤めたのが市川笑三郎丈、妹蜘蛛が大谷廣松丈。右團次丈と右近ちゃんの演技もさることながら、一番面白くてワクワクさせてもらったのがこのお二人。
笑三郎丈は、ワンピースやNARUTOでも書きましたが、女方が多いですが立役も素晴らしい俳優さん。廣松丈は、私のイメージでは女方専門の俳優さんと思っていたんですが、今回の公演では見事に立役も勤められています。
物語の始めは完璧に美しくて妖艶な女方なのに、妖怪であることがバレてからはめちゃくちゃ恐ろしい声で凄む悪者になるので、そのギャップが凄すぎて面白い[るんるん] とても同じ人が演じているとは思えないので、本当にワクワクしました。
歌舞伎の面白さは、花形スターさんだけでなく、すべての俳優さんたちの力量の凄さに圧倒される、というところにもあるんですよね~

二つ目は、襲名披露口上。
襲名披露口上というのは、歌舞伎俳優さんたちにとっては一生のうちに1回か2回くらいしか経験出来ない、ほんとうに貴重なもの。新名跡を継いだ決意と支えてくれるファンや関係者への感謝の気持ちが、本当に伝わってくる口上です。その瞬間に立ち会えることの喜びが、お客さんたちにも感じられて、とても温かな拍手や大向うが掛かります。
一方で、お祝いを述べる幹部俳優さんたちの口上も、とても楽しくて温かい言葉が並びます。
普段の演目では歌舞伎俳優さんたちの素の姿を観ることは少ないですが(自分ネタのアドリブで楽しませてくれる俳優さんたちもいますが(^-^))、口上は歌舞伎俳優さんたちの素の姿を観ることが出来る数少ない場でもあるのです。歌舞伎ファンにとっては、本当に興奮する一幕ですよね。
なので、「口上なんて、単なる挨拶じゃないの? つまんなそう~」って思っている方、騙されたと思ってご覧になっていただければと。
しかも今回はなんと[exclamation×2] 海老さまと猿之助丈が同じ舞台に同時に居並ぶ[ぴかぴか(新しい)] 
海老さまを始め、他の幹部俳優さんたちはみんな、二人に向けて温かく楽しいエピソードを披露してお客さんたちを大いに笑わせていましたが、猿之助丈だけはめちゃくちゃ本気のきりっとした挨拶で、『やぁ~、性格出てるなぁ~[わーい(嬉しい顔)]』と思ったのでした。

口上のあとの幕間、私は急いで大阪松竹座お隣のはり重さんへ。友達二人はその間に売店でお土産探し。
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開演前に注文しておいたビーフサンドイッチです。二人は松竹座界隈の美味しいお店を事前に予習してきたようで。『はり重~[るんるん][るんるん] せっかくだから食べてみたいよね~ でも終わった後にも今井のうどんとたこやき食べたいし。。。』ということで、サンドイッチ一つだけ買って、三人でシェアすることにしました。
お値段の割には、かなり少量でしたが、美味しさはバツグン[るんるん] 普通のカツサンドとは全く違う美味しさでした。

三つ目の演目は『神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)め組の喧嘩』
海老さま勤めるめ組の頭辰五郎が率いる鳶達と、右團次丈が勤める四ツ車が率いる力士たちの喧嘩を中心とした世話物。
江戸時代、鳶という職業は粋でいなせ、江戸っ子の象徴のような存在でした。一方で、力士も人気の職業でしたが、強い力士たちは侍たちからもちやほやされて、鳶という職業を見下すかのような言動も・・・
最初は喧嘩の仲裁に入った辰五郎でしたが、力士たちにバカにされて悔しい思いをします。闇討ちをしようとしますが失敗に終わり、そのあとはもう仕返しを諦めたような振舞い...
辰五郎の妻お仲や周りの鳶連中からも『このまま引き下がるのか[exclamation]』と言われても、辰五郎は動きません。
が、相撲の場所がそろそろ終わるかという頃、辰五郎はお仲に離縁状を渡して、まだ小さな倅の又八を連れて別れてくれと。その理由が、死を覚悟で四ツ車たちに仕返しをするつもりだったことを知ったお仲は、涙を呑んで辰五郎を送り出す・・・
そして鳶たちと力士たちの壮絶な喧嘩が始まります。この喧嘩がめちゃくちゃ面白い[ひらめき] 面白いなんて言ったら、決死の覚悟で挑んだ辰五郎に失礼ですが(^^; 大人数の威勢の良い鳶たちが一斉に掛け声を掛けると、ほんとに迫力があります。大立ち廻りも見どころ満載。

世話物狂言は、江戸時代の庶民の暮らしぶりや風俗が細かく再現されているので、江戸文化に興味がある人にとっては、とてもワクワクさせられる演目ですよね。
TVドラマの時代劇での映像ではどうしても人物中心のカメラワークになるので、例えば家の中にある小道具などはあまり目に留まりません。でも歌舞伎の舞台では、人物以外の大道具や小道具、着物などなどを自由にじっくりと観ることが出来るんですね。

ところで、海老さまの出番の前に、鳶の藤松を勤める市川九團次丈が登場します。。。実は九團次丈、とっても海老さまによく似ておられる・・・前日夜の部でも悪者の勘解由兵衛景逸役で九團次丈が海老さまより先に登場するんですが、こちらもそっくり。後ろの席の方が『あれが、海老蔵よ』と言っているのが聞こえたほど(^^;
素顔はぜんぜん似ていないのに…不思議[るんるん]

そして最後の演目は『玉屋清吉(たまやせいきち)團十郎花火』。
海老さま主役の新作歌舞伎舞踊で、初演の作品。海老さまの舞踊はあまり観る機会がないので、とても楽しみでした。
自主公演などで次々と新しい歌舞伎のスタイルに挑戦し続けている海老さまらしく、この演目も単なる舞踊だけではなく、映像を駆使しての目新しさ満載の演目でした。
最後はドバァっと。とっても華々しいフィナーレでしたよん[るんるん]

今回は夜の部、昼の部ともにあっという間に終わったって感じ。それほど一つ一つの演目が面白くて、楽しかったってことですね~
友達二人も『ほんとに面白かったぁ~ 誘ってくれてありがとう[exclamation×2]』と、大喜びでした。歌舞伎鑑賞はやっぱりお金が掛かることなので、そうそう気軽に誘えないなぁ~と思っていましたが、二人とも家族のことで色々と大変なことがあるようなので、『年に一度くらいは、歌舞伎を観に行きたい!!ストレス発散出来たわぁ~[わーい(嬉しい顔)]』と言ってくれたので、第二弾があるかも。。。今度は彼女たちが行きやすい南座かな??

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大阪松竹座近く、今井の鴨なんばうどん[ぴかぴか(新しい)] めちゃくちゃ美味しかった[exclamation×2] たぶん今まで生きてきて食べたうどんの中で、一番美味しかったかも。やっぱり関西風のお出汁のうどんが、一番美味しいわあ~

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御園座吉例顔見世 [歌舞伎!!]

10月7日、御園座に行ってきました。吉例顔見世興行です。
今月は他にも大阪松竹座と歌舞伎座に行く予定があるし、「ぜったい観たい」という俳優さんも出ないし、御園座は他の劇場と比べてチケット代が高いので、今回はやめておこう…と思っていたのですが。
それでも2週間ほど前に、せっかく交通費も宿泊費も掛からない名古屋で歌舞伎が観られるのにもったいないし、観てみたい演目も掛かるので、せっかくだから行こうと思い立ったのでした。
さんざん迷いましたが、結果的に観に行って良かったデス。

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玄関入り口が吹き抜けなので、俳優さんたちの名前看板、ずいぶんと見上げなければよく見えないのが、ちょっと残念。下の方にはチラシと同じ立て看板もありましたが、こちらもあまり目立たないところに掲げられていたので、誰が出るのか分かりにくいような。。。
地下鉄出口から御園座までの動線上に、大きくて目立つ看板があると、もっとワクワク感が出るのになぁ~ 御園座は歌舞伎以外の公演の方が多いので、そういう演出はなかなか出来ないのかな?

絵看板も、歌舞伎座は通りから良く見える場所に派手に掲げられていますが、御園座では2階ロビーにあります。2階へのエスカレーターを上がった先にありますが、よく探さないと分からないです…
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歌舞伎座は一つの演目ごとに描かれた絵看板ですが、こちらでは昼の部と夜の部ごとに、全ての演目の登場人物が一枚に描かれています。
今じっくりと見てみてみて気が付いたんですが、この集合体の絵看板の方が面白いかも。演目ごとの絵看板は、この演目に出るのはこんな登場人物と一目でわかるんですが、集合体は一目では分からない。芝居を観終わった後にじっくり見てみると、『ああ、これが義経千本桜の主人公狐忠信だ』『これは右近ちゃんのお賤かなぁ~?』『魁春さんの女暫、面白かったわ~』などなど、それぞれのお話を思い出させてくれて楽しめる訳です。

今回のラインナップ。
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音羽屋さんと萬屋さんを中心とした座組です。

昼の部のお席は、2階7列37番。B席。
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実はB席はS席の半額。歌舞伎座と比べると舞台から2階席までの距離が近いので、B席後方でもあまり遠さを感じません。S席とのお値段を考えるとお得感があります。
ただ、花道はすっぽん辺りしか見えないので、引っ込みの六方が面白い演目だと、ちょっと残念感があります。今回の演目、狐六方で有名な義経千本桜鳥居前。。。しまったぁ~[あせあせ(飛び散る汗)]事前に予習してからチケットを取らなかったので、狐六方、一瞬しか見れませんでした~(;'∀')

一つ目の演目は、『義経千本桜 鳥居前』。
主人公の佐藤忠信実は源九郎狐、四代目尾上松緑、静御前は二代目尾上右近。どちらも好きな俳優さんです。
歌舞伎の演目の中でも超メジャーな演目ですが、実はまだ一度も生で観たことがなかったのでした。今回この演目見たさにチケットを取ったのですが、さっきも書いた通り、このお話の肝の部分、狐六方を見逃してしまいました[たらーっ(汗)]

二つ目、『二人椀久(ににんわんきゅう)』。
長唄の舞踊作品として人気のある演目ですが、内容はよく知らず、勝手に何となく、二人でおもしろ楽しく踊る舞踊だとイメージしていました。が、全く違ってました。
人を愛しすぎた男の切ない物語。。。幻想の中で愛おしい人と踊り過ごす、とても美しくて切ない舞踊でした。
主人公の椀屋久兵衛を五代目中村時蔵、松山太夫を四代目中村梅枝が演じます。。。って、親子です、お二人は!! 中村時蔵丈の女方はこれまでにも何度も観ていますが、立役も素敵ですね。それ以上に目に留まったのが、御長男中村梅枝丈の美しさ。この松山太夫も妖艶で美しかったですが、この日はあと二役を務めていて、その存在感もとても良かったので、私の中での注目度がアップしたのでした。

三つ目、『野晒悟助(のざらしごすけ)』河竹黙阿弥作の世話物。
当代尾上菊五郎が主人公野晒悟助を勤めます。悟助のモテモテぶりと大立ち回りがとびっきり面白い作品です。
悪人に絡まれているところを助けてもらった二人の女性から、ほぼ同時に(!?)求婚されるんですが。。。この二人の女性がお茶目なお嬢様小田井役の中村梅枝丈とけなげな娘お賤役の尾上右近丈。
結婚を断ったのに「私と結婚してくれなければ死ぬぅ~[exclamation]」と小田井に迫られて祝言を上げた悟助、『え、そんなに簡単に結婚するんかい!!』と突っ込みたくなる展開。その祝言中に尋ねてきたお賤にも求婚されて「やって来る順番が遅かった」と宥める悟助。。。現実世界にもそういう話ありそう。。。(^^;
一足遅れで結婚出来なかった娘を不憫に思うお父さん侘助が、「そんなら、半月交代で妻にしてくれませんか」なんて~[わーい(嬉しい顔)] 大爆笑でした。
他にも笑いを誘う会話が満載。そんな物語の展開の面白さと、音羽屋と描かれた傘を使っての大立ち回り、半端なくカッコ良かったデス。

ところでこの作品、幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者河竹黙阿弥の作。名前は歌舞伎を知る前から聞いたことはあった。なんといってもインパクトのあるお名前ですもんね。しかしながら、歌舞伎狂言の作者さんとは知りませんでした。
調べてみると、たくさんの数の作品を書いていて、現在の歌舞伎公演でも、毎月必ずどこかの公演で上演されているそうです。そう言われて私が今まで観た歌舞伎演目を見返してみると、『雪暮夜入谷畦道』『土蜘(つちぐも)』『弁天娘女男白波』が河竹黙阿弥の作品でした。今回の『野晒悟助』と『連獅子』も彼の作品です。

さて今回昼の部、幕間はお弁当ではなくて、御園座1階にある御園小町で買ったサンドイッチにしました。
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アボカドとサーモンのサンドイッチ。これだけでは足りなかったので、2階売店で買ったミックスサンドも食べました~

昼の部が15時過ぎに終了して、夜の部が始まるまで約1時間。昼と夜を通して観る時、歌舞伎座では外に出ずにロビーで過ごすことが出来ます。中にいるスタッフさんにチケットを切ってもらいます。
が、御園座は・・・? よく分からなかったので一旦劇場の外に出て、近くの喫茶店で時間を潰しました。御園座の周辺、あんまり喫茶店がないんですよね~

夜の部。お席は、2階1列25番。こちらは2階席ですがA席、S席よりは安いですが、歌舞伎座の桟敷席と同じ値段。。。やっぱり高い(^^;
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2階席の一番前列なので眺めが良く、舞台全体を見渡すことが出来ます。ただこちらの席も、花道は半分ほどしか見えないので、揚幕が上がるチャリンという音が鳴って、1階席の方から拍手が聞こえても、誰が出てきたのかが分からず、2階席はほとんど手を叩いていない。。。これは歌舞伎座でも同じなんでしょうが。
しかしながらそれでも、チャリンと音が鳴ったタイミングで、2階後方席から大向うさんが声を掛けるのがスゴイです。誰が出てきたのか見えないのに、です。
ところで、歌舞伎座は3階席があって大向うさんたちはだいたい3階席の一番後ろの方におられますが、御園座では2階席までなので、2階席にいると大向うさんの掛け声がけっこう大きく聞こえて、ちょっとびっくりしてしまいました。
もうひとつ、大向うさんのことでびっくりしたのが、『待ってました!』の掛け声があったこと。もう既に30公演ほど歌舞伎を観に行っていますが、この掛け声は初めて聞きました。大向うさんの掛け声、屋号だけかと思ってました…

さて、昼の部の一つ目は『女暫(おんなしばらく)』。二代目中村魁春が巴御前を勤めます。
この『女暫』も今回観たかった演目の一つ。だって、大好きな海老さまの歌舞伎十八番『暫』の女性バージョンなんですヨ[るんるん] あの面白い作品がどうなるのか、興味津々。
・・・期待通りの面白さで、「やっぱり歌舞伎ってほんとに面白い」と改めて思わせてくれました。
『暫』とは舞台設定が変わるので、鎌倉権五郎は巴御前、悪役も違う人物に変わりますが、なぜか鯰坊主や赤っ面の成田五郎らの濃いキャラクターが同じように出ていて、居並ぶ場所も同じ。もちろん揚幕から聞こえる「し~ば~ら~く~」や、ストーリー展開やツラネ、「アーリャー、コーリャー」という化粧声も一緒。完全に『暫』のパロディー版。
でもそこはやっぱり巴御前という女性が主人公なので、単に強い正義の味方だけではない、女性らしさが出る演出も面白さに華を添えています。最後の引っ込みも、「こんな引っ込みの仕方があったのか~[exclamation]」と、面白さ全開でした[ひらめき]
なので、『暫』を観たことがあると、その違いも面白さに加わり、何倍も楽しめる感があります。

二つ目は『連獅子』、四代目尾上松緑が親獅子、萬屋中村萬太郎が仔獅子を勤めます。
連獅子は昨年7月、海老さまの親獅子、みっくん(坂東巳之助丈)の仔獅子を観たことがあり大感激しましたが、違う俳優さんがやっても、とても迫力があって見応えバツグンな演目です。
連獅子といえば後半の毛振りの場がとても印象的ですが、実は三部構成。
最初は、狂言師右近と左近が、清涼山の石橋の景色とそこに現れる獅子の様子を舞います。この舞踊は凛とした雰囲気の踊りです。
狂言師たちが立ち去った後は、間狂言とよばれる狂言舞踊。異なる宗派の僧二人による、面白い掛け合いが続きます。さきほどの狂言師による舞踊とはまったく趣が異なるので、「なんでいきなりこの展開になるの~?」と思うんですが、間狂言とは、狂言師が獅子の姿に変わる間の繋ぎのこと。まったく違うキャラクターが出てきて、違うお話が展開するんですが、最後にはちゃんと獅子の登場に繋がっていきます。
そして、親獅子と仔獅子の登場。。。紅白の毛を左右に振るう「髪洗い」、回転させる「巴」、舞台に叩きつける「菖蒲叩き」という所作が満載の、激しく踊り狂う勇壮な獅子たちの競演が圧巻です。
さて、今回の仔獅子は中村萬太郎丈、さきほど登場した五代目中村時蔵丈のご次男。中村梅枝丈の弟さんですね~ 初役だそうですが、とても元気のよい仔獅子でカッコ良かったです。もちろん、尾上松緑丈の迫力もすごかったデスヨ。。。体力的にはなかなかキツそうでしたが…

今回のオーラスは、『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』。こちらも有名な世話物の一つ。全部で九幕もある長編ですが、このうち今回の『木更津海岸見染の場』と『源氏店妾宅の場』の二場のみの上演が多いようです。
主人公の切られ与三郎を四代目中村梅玉、相手役のお富を五代目中村時蔵が演じます。
中村梅玉丈、二代目中村魁春丈の実のお兄さんですが、屋号が違うのは、歌舞伎界ならではの複雑な事情のせいでしょうか・・・
お話そのものは、男女の恋愛がメインストーリーの分かりやすいお話ですが、市川左團次演じる和泉屋多左衛門の登場で、ほっこりとした温かい余韻を残します。

夜の部の幕間はこちらのお弁当。
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とても美味しいお弁当でした。

…が、御園座に来たらいつも気になるのが1階にある鰻うおか冨士さんの鰻弁当。お弁当としてはよいお値段ですが、お店で食べるうな重と比べるとお得。なにより、美味しそう[ぴかぴか(新しい)] いつか食べるぞ~
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